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    小谷は房一に話しかけた。

    「へえ。――ズブツとね」

    「閉口でしたな」

    男はまだ立つて、あの話を持ちかける構へといつた風を持していた。

    「さうなんですよ。ですが、よく考へたもんだと思ひましたね、足もとから鳥が立つ、といふでせう、――あれとそつくりにね、かうひよいとカワラケがとび出すんですよ」

    「あんたも、おめでたいさうで」

    河原の端にある高い築堤の上で、白い割烹着かつぽうぎを着た女が、口に手をあてて何か叫んでいた。

    彼は自信を失つた。それにこの苦痛と動揺は明らさまに説明しにくい、説明したところで判つてもらへない種類のことだつた。房一はそれを盛子の妊娠の揚合にも経験した。

    房一はすつかり夢中になつていた。

    「何しに来た?」

    「さあ、くはしいことは判りませんね」

    「鬼倉といふのは女を二人置いとるさうぢやないか」

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